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バリー・ギブ『イン・ザ・ナウ』ロング・インタビューbyティム・ロクスボロPart 1

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自然に型破りな構成になったという名曲「ユー・ウィン・アゲイン」

『イン・ザ・ナウ』発売を前に、ニュージーランドのジャーナリストで大のビージーズ・ファンでもあるティム・ロクスボロさんがバリー・ギブと独占ロング・インタビューを行いました。このインタビューはティムさん自身のブログ(Roxborogh Report)にアルバムのレビュー回を含めて計7回のシリーズとして連載された他、ティムさん自身がCoast局で持っているラジオ番組のスペシャルとして放送されました。
今回はティムさんとSony Music Japanのご好意により、この独占ロング・ロング・インタビュー(しかも内容がかなりディープ)を何回かに分けて連載形式でお届けします。まず、本日の第1回は上のYouTubeリンクの曲「ユー・ウィン・アゲイン」の構成について。

ティム・ロクスボロ・レポート 【バリー・ギブ『イン・ザ・ナウ』インタビュー】パート1

あんまりキャッチーなので気がつかないけれど、実はビー・ジーズの曲は非常に変わった構成になっている

バリー・ギブと45分間。地球の反対側にいるインタビュアーと話すのに、これだけの時間を割いてくれる大物アーティストが何人いるだろう? まるで昔からの友だちとしゃべってるみたいだったけれど、実は相手は世界的なトップ・アーティストのひとり。バリーとのオフィシャル・インタビューは11年前の第1回から数えてこれで6回目。これまでの5回もかなりの長さである。それなのにまだ、ああ、あれを聞けば良かった、と思う質問が数限りなくあって、またいずれ機会を得てバリーに聞きたいものだと思う。いつか7回目がありますように!
バリーと話すのは(今回のインタビューは、9月はじめ、バリーの70回目の誕生日の直後に行われた)いつだって名誉なことだ。正直で、心がこもっていて、謙虚なことで知られるバリーだから、いつも笑いながらの楽しいインタビューになる。特に嬉しいのは、バリーがこれまで他では聞いたことがないような新しい情報を教えてくれるときで、今回の記事ではそういう点を中心にまとめたいと思う。
ニューアルバム『イン・ザ・ナウ』の発売(10月7日)まで1週間を切ったいま(訳注:この記事の原文は10月初めにオンライン公開されました)、ティム・ロクスボロのバリー・ギブ『イン・ザ・ナウ』インタビュー【パート1】をお届けしよう。このシリーズ(全6回)では、この最新インタビューから特に熱心なファン向けの部分をまとめてみたい。

後期ビージーズの曲のうちでバリーがシングル化を熱望した曲はどれか、バリーは、いつの日か、どこの地に埋葬されたいと願っているのか、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」誕生の裏話、子どものときに仮病を使ったわけ、次回のツアーが「ミソロジー・ツアー」とはどう違うものになるのか、バリーにとって史上最高の曲とは何か、リンダ夫人がバリーの職業人としての人生に及ぼしている影響とは、等々について、読んでいただきたい。
 

むろん、ソロ・アルバムとしては、1984年の『ナウ・ヴォイジャー』以来2枚目にあたる『イン・ザ・ナウ』をサウンド、歌詞の両面からも論じる。もっとも『イン・ザ・ナウ』は、1970年の未発表アルバム『ザ・キッズ・ノー・グッド(The Kid’s No Good)』と1988年の『Hawks(わが命つきるとも)』のサウンドトラックを数えれば4枚目ということになる。

まず、このパート1では、特に「ユー・ウィン・アゲイン」と「恋のナイト・フィーバー」を取り上げ、独特な曲の構成について聞いてみた。

TR: 前々から構成について聞きたいと思っていた曲が2曲ほどあります。「恋のナイト・フィーバー」と「ユー・ウィン・アゲイン」なのですが、ファンや批評家が「シンプルでキャッチ―で好きだ」というのを聞くたびに、「違う、違う。曲の構成を見てほしい!」と思っていたんです。「恋のナイト・フィーバー」は史上ナンバーワンになった曲のうちで一番クレイジーな構成を持った曲のひとつです。「ユー・ウィン・アゲイン」ときたら途中にヴァースが短縮形で入ってくる。あんまりキャッチ―なので、曲の構成が従来の形式から大きく外れていることに気がつかないだけです。これは偶然、それとも意図的ですか?
バリー: 有機的かな。つまり、自然にそういう形で出てきた。「ここで何が必要だろう?」「ヴァースが必要だな」「ここでは何が必要だろう?」「コーラスが必要だ」。それからコーラスにもどる必要があるけど、もう一回ヴァースをやる必要はない。左折してそっちからコーラスに行けばいい。実際、曲の中心というか、その曲の発想そのものには必ず戻る必要があるけど、同じ形で戻る必要はない。そういう構想だった。

「ユー・ウィン・アゲイン」ね……「ユー・ウィン・アゲイン」の構成を聴いてみると、かなり変わってるんだけど、あれは意図的だったんだ。「愛はきらめきの中に」もかなり変わってる。聴いていて、思いついてよかったなあと思う構成の曲があるよ。「恋のナイト・フィーバー」はナンバー・ワンになるとは思ってなかったけれど、なっちゃったものね。僕たちはただ、どうやったら曲を少しでもいい形にもっていけるかを考えていただけで、そのためには王道を外れてみる必要があった。外れておいて、そしてまた戻る。盛り上げておいて戻る。こういう話はよくマイケル・ジャクソンとしたなあ。静かな夜とかに、ふたりでこういう話にしたんだよ。単なる繰り返しばかりじゃなくて、聴き手を惹きつけ続けることがどんなに大切か、とかね。

もうひとつ大切なのは、人に、ああ自分はこの曲を生きた、と感じさせるような曲を書くことなんだ。すぐれたラブソングは、どんな人にも、「ああ、自分はあのとき恋に落ちたんだった」とか「ああ、こうやって恋に落ちたんだった」とか「ああ、こんな風に傷ついたんだ」「これは僕の人生に起こったことだ」と思わせる。僕はまさにそれこそソングライターがしようとしていることだと思う。曲の構成については、どうしてそうなったかは言いようがないんだけど、これだ、という構成に行きあたるとわかるんだ、とにかく、あ、これだ、とわかるんだ。
TR: ずっと気になっていたので、その説明を聞いてとても嬉しいです。一度、ブログの記事の中で「ユー・ウィン・アゲイン」はヴァース、コーラス、アドリブ、コーダ、セカンド・ヴァースといくんだけど、このセカンド・ヴァースが実は最初のヴァースのパターンを短くしただけで、そのあとにまた来るアドリブ、コーラスはキーが変わっている。とにかく数学的に素晴らしい!と書いたことがあります。
バリー: そう! だけどとにかく流れがいい。説明はできないけれど、とにかくわかるんだよね、あ、これでいいんだ、とにかく行こう、これで行こうって。

続くパート2ではアルバム「ハイ・シヴィライゼーション」について取り上げます。