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バリー・ギブ『イン・ザ・ナウ』ロング・インタビューbyティム・ロクスボロ Part 3

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You Should Be Dancingのボーカル・オンリー・バージョン

ニュージーランドのジャーナリスト/ビージーズ研究者、ティム・ロクスボロによる連載ロング・インタビュー・シリーズのパート3は「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」についてです。

 

パート3 バリーが語る「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」の裏話

この“ティム・ロクスボロのバリー・ギブ『イン・ザ・ナウ』インタビュー【パート3】”では「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」について、裏話と、今年が全米ナンバーワンになってから40周年の年であることなどについて読んでいただく。トップにボーカル・オンリーのバージョンのYouTubeリンクを掲げておいた。ビー・ジーズのボーカルとハーモニー・ラインがいかにディテールに富んでいるか、改めて感じてほしい。

僕と同じで、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」のファイナル・ミックスには、あのアイコニックなトランペット・ソロに合わせて歌うバリーのファルセットが埋め込まれていることに気づいて、驚く人もいるんじゃないかと思う。それに、歌う前に息を吸い込むのもはっきりと聞き取れるし、エコーのかかった「ごろごろしてる場合じゃないだろ(Watcha’ doin’ on ya’ back)」が伴奏なしだとくっきりしている。なだれ落ちるようなモーリスのベースにいたるまで、いまだにすごい曲だなあと思う。このベースにはバーナード・エドワーズだって感激したはずだ。

これを聴いたあとで、ああ、いまは『イン・ザ・ナウ(今、この時)』で、過去を振り返ってばかりいるんじゃないんだ、と意識した上で、バリーのニュー・アルバムから、リンダ夫人に捧げられた「星空の恋人達」を聴いてみよう。パート4ではバリーに聞いた『イン・ザ・ナウ』の裏話について書いてみたい。まずはパート3をどうぞ。

TR: 最近あなたがロンドンに滞在された際の写真がありましたね。一緒にいるのが息子さんのアシュリーとアシュリーのところの男の子で…。
バリー: ああ、ルーカスね。そうそう。
TR: そう、ルーカスです。みんなが言ってましたね、「いやあ、三世代のそっくりさんだ!」って。
バリー: ほんとにねえ。あれはソニーのサマー・パーティで、ルーカスが踊ったんだよ! 初めて見ちゃった(笑)けど、まあフロア狭しと踊ってたの、知ってた? 僕たちはびっくりして見てただけ。いい動きをしてたんだ、これが。
TR: なんと!
バリー: ほんと!
TR: (ここで強引に話題をつなげて…)踊りといえば、ついこのあいだが(1976年9月初頭に)「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」が全米ナンバーワンになってからちょうど40周年でしたね。あの曲には、スティーヴン・スティルスがパーカッションで参加して、パーカッションだけが16回も重ねてあるとか、いろいろクールなエピソードがありますが、レコーディングしたときのことで何か面白い話を覚えていたら、ちょっと教えてもらえませんか。
バリー: ああ、あの曲のことはいろいろと覚えてるよ。少なくとも4回はカッティングした。2週間かけて繰り返し繰り返し、ああでもないこうでもないとやって、まとめたんだよね。で、スティーヴン・スティルスが朝の5時にスティックを使ってパーカッションを演奏してくれたりした。何か新しいものを発見しつつあるという素晴らしい環境だった。僕たち、より正確なリズム、ラテンのリズムを発見しつつあったんだよね。マイアミに住んでるとまわり中にあるから、自然とそうなった。今でもはっきりと思い出すなあ。
TR: すごい曲ですよね。大音響で聴いて、ひとつひとつのディテールを聞き分けたくなる、そんな曲のひとつです。ごく最近になって気がついたんですが、トランペットのソロと一緒にファルセットで歌ってるんですね。僕が気がついたのはYouTubeでインストゥルメンタル抜きのボーカル・オンリーのバージョンを聴けるからなんですが。
バリー: うん。そういうの、やったと思う。「哀愁のトラジディ」の爆発音とか、あれは僕が口だけでやったんだけど、カール・リチャードソンがいろいろ手を入れて、あの爆発音にしたんだよね。「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」では急に好きなだけトラックを増やせるようになった。だから必ず何か足して、平凡にならないようにしていた。
「ジャイヴ・トーキン」でもインストゥルメンタル・パートを歌ってるんだよね。全部がぴったりはまると、ちょっとなかなかないようなものになる。だけどとにかく、いろいろと、とにかくいろいろと試し続ける。きっちりはまるものもあれば、ダメなものもあったんだけど、「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」の場合には特にミキシングも10人がかりだった。ミキシング・ボードに10人だよ。アップデートができなかった、そんなのなかったもん。だから全員がフェイダーを動かして、全体をミキシングするしかないわけ。僕のフェイダーは(突然ファルセットで)「ごろごろしてる場合じゃないだろ(Whatcha’ doin’ on ya’ back?)」のエコーの繰り返しだった。あれをちょっと繰り返して…。

TR: うん、あの「ないだろ、ないだろ、ないだろ(ya’ back, ya’ back, ya’ back… )ですね(笑)。
バリー:あれ、僕がやったんだ!(笑)
TR: あれはあなただったんですね~。いい仕事だ!
バリー:(笑) でも誰かひとり間違えると、全部やりなおしだった。
TR: そうなんですか?
バリー: 当時はセーブしておけなかったからね。コンピュータで設定を決めておいたりできなかった。
TR: 一般にアーティストは、自分ではどの曲がヒットするかわからないと言いますが、あの曲は、ミキシングしながら、全員そろって一斉にチャンネルを操作しながら、みんなで「ねえ、この曲はスマッシュヒットになるよね?」っていうような曲のひとつだったのではありませんか?
バリー: うーん、どんな曲でもそれは言えないと思うんだよね。お互いに顔を見合わせて、「これはすごい、特別だ」ということはあると思う。特別といってもチャート向きとか、ラジオ向きとか、いろいろだけど、とにかく特別という場合。でも前にも話したことがあるけど、僕たち、「アイランズ・イン・ザ・ストリーム」は、誰もレコーディングしないうちから、あ、これはナンバーワンになる、と感じていた。だから時にはほんとに感じるわけだ。「愛はきらめきの中に」の時も感じたなあ。「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」はとにかくやってて楽しくて、急にみんな踊りたくなっちゃった。しかもまさにそういうレコードを作りたかったの。それができたと思う。
 これって、(ポール)マッカートニーが、「ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア」ではビーチ・ボーイズ風の曲が書きたかったって言ってるようなものだと思う。ほんとに好きなアーティストがいて、ああいう曲をやってみたいなと思ってるという感じ。「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」もそのパターンに入る。でも「愛はきらめきの中に」は他にはないタイプだと思う。他のどんなアーティストとも関係なく、あの曲はひとつの感覚なんだ。

「ユー・シュッド・ビー・ダンシング」はものすごく緊密な構成の無駄のない曲という印象ですが、それはマイナスの美学ではなく、プラスの美学の上に構築されたことがわかります。とはいっても、やっぱり無駄な要素はひとつもないんですよね。しかもこういう完璧主義が、あふれるような創作や音楽への愛情から生まれて、みんな踊りだしたいような気持ちだったというところが、この曲の変わらぬ魅力の秘密かもしれません。


 

Words

リンダに出会ったとき、ぼくにとって夢が本当になった。

バリー・ギブ