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【1978年3月】「全米一ホットなレコード・アーティスト」(米日刊紙より)

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Globe-Democrat紙(1978年月3月2日号)より
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1978年初頭、『Fever』の渦中にいたビー・ジーズについてアル・クーリーRSO社長の談話を交えて分析した記事です。

St.Louis Globe-Democrat誌に掲載されたLAタイムズ紙の音楽評論家ロバート・ヒルバーンの記事を以下に簡単にまとめてご紹介します。

 全米でいちばんホットなレコード・アーティスト

今から1年前パリでのこと、RSOレコードのアル・クーリー社長はビー・ジーズの新曲3曲のワーキング・テープを聴いたときに確信した。『サタデー・ナイト・フィーバー(以下SNF)』はそんじょそこらのサウンドトラックアルバム以上のものに化ける可能性がある、と。
映画も宣伝になるだろうからと、クーリーは目標を高く設定した。アルバム・セールス100万枚、トップ10シングル 1枚。そうなれば、『フィーバー』は『スターウォーズ』や『ロッキー』クラスの作品になる。
ところが、映画が劇場にかかる以前にこの目標は達成されてしまった。
  12月に映画の劇場公開が始まると、目標を何度も設定しなおすことになった。目下、全米ナンバーワン・アルバムの地位について8週目となったサントラ『SNF』が映画の人気に助けられているのは間違いない。けれどもクーリーとアルバムには秘密兵器がある――ビー・ジーズだ。
  つい5年前には、忘れられかけていたポップ・グループだったバリー、ロビン、モーリス・ギブ、すなわちビー・ジーズは、目下全米一の人気を誇るレコード・アーティストである。『SNF』の成功がとんでもない人気上昇ぶりをさらに劇的に彩っている。
現在、トップ10内にシングルを5枚送りこみ、サントラ『SNF』でも鍵となる役割を務めて、ビー・ジーズによる売上チャートとAMラジオ局の独占ぶりに比肩するものといえば、14年前、登場時のビートルズの勢いぐらいだろう。
  レコード業界はいまだにフリートウッドマックが1977年に達成してみせた大成功に揺れ動いているというのに、ギブ兄弟はすでにその話題を過去のものにしつつあるのである。フリートウッドマックの『噂』は昨春以来300万枚以上を売り上げたが、ビー・ジーズが主翼を担う『サタデー・ナイト・フィーバー』は11月以来すでに600万枚近く売れている。クーリーの予測では、クリスマスまでには売上は1,000~1,200万枚に達するだろうという。
平均8ドルという割引き価格でこの2枚組アルバム(『噂』はシングルアルバム)は未曾有の売り上げ1億ドルを達成するかもしれない。パラマウントによれば月曜日現在映画の総収は5,000万ドルだという。
当初の売り上げ予測をいま振り返ると笑ってしまうクーリー社長である。「キャピトル・レコードにいたとき、ビートルズの全アルバム、(ピンク・フロイドの)『Dark Side of the Moon』、マッカートニーの作品などを手がけました……どれも業界史に残る売り上げを誇るアルバムです。でもこのアルバムほど勢いがあったアルバムは見たことがない。
疑いもなく、ビー・ジーズは全米最大のレコード・アーティストです。彼らにとってのライバルは自分自身なんですよ。先週、『ステイン・アライヴ』がナンバーワンでしたが、2位はアンディの曲だったんです…」
言っておかなくてはならないが、ディスコ満載のサウンドトラック『SNF』には他のグループの曲も入っている。KCアンド・ザ・サンシャイン・バンド、トランプス、クール・アンド・ザ・ギャング等だ。
けれども映画の中で重要な音楽的役割を果たし、最大のシングルヒットとなったのは、ビー・ジーズの「ステイン・アライヴ」「愛はきらめきの中に」「恋のナイト・フィーバー」だ。さらに、『SNF』から現在トップ40入りしているもう一つの曲(イヴォンヌ・エリマンの)「アイ・キャント・ハヴ・ユー」もビー・ジーズが書いた。
もうひとつ。トップ10入りしている「ビー・ジーズのシングル」は技術的にはビー・ジーズによるものばかりではない。けれどもアンディ・ギブの「Love Is Thicker Than Water」、サマンサ・サングの「Emotion」は、まぎれもないビー・ジーズ・サウンドだ。どちらの曲もバリー・ギブが共作し、共同プロデューサーを務めている。
いちばん大変なのはビー・ジーズの手綱を締めることです」とRSOのクーリー社長は語る。「誰も彼もがビー・ジーズの曲を欲しがり、バリーにプロデュースしてもらいたがっています。ポップ、MOR、R&Bからカントリーまで、ありとあらゆるタイプのアーティストから依頼が殺到しています。でもビー・ジーズには時間がない。
いまは映画『サージェント・ペッパー』の撮影を終えて、マイアミで弟のアンディのニューアルバムの仕事をしています。その後は自分たちの新作アルバムにかかる予定です。夏の終わりには大規模な全米ツアーが計画されています」
これだけの成功はギブ兄弟にとっては特に嬉しいものだろう。10年前に彼らがポップ・シーンに登場したとき、メロディアスでやさしい彼らのポップ・ロックはビートルズのソフトな面を模倣しただけのものとしてまともに取り上げられなかった。彼らのキャリアはその種のフラストレーションに満ちている。
パフォーマーとしてどんなに不器用だろうと、レコードメーカーとしてどんなにメロドラマチックだろうと、彼らの曲はいつも印象的だった。エルヴィス・プレスリー、ジャニス・ジョプリン、アル・グリーン、サラ・ヴォーン等、200を超えるアーティストがビー・ジーズの曲をレコーディングしている。
ビー・ジーズにとって、未来の展望は商業的な成功という意味ではまことに明るいと言わざるを得ない。公開予定の映画『サージェント・ペッパー』がさらに売り上げ面でも話題面でも貢献すれば、全米ツアーは彼らにとって過去最大のものになるだろう。
5年前には3,000人収容のホールで演奏するところまで落ちていたビー・ジーズだが、1978年にはすでに15,000~20,000人収容するアリーナ公演をするところまで盛り返している。今回の彼らはこうしたアリーナで2回、3回と公演できるはずだ。

(Robert Hilburn)

映画『サージェント・ペッパー』の撮影を完了し、アルバム『Spirits Having Flown』の製作に取り掛かる前のビー・ジーズの様子を垣間見ることができます。ここで話題になっている全米ツアーは結局はこのアルバムの完成・発売を待って1979年に実施されました。(だから今年はSpritsツアー40周年)

この批評は褒めているようで、どこまで褒めているのか、売上(商業的な成功)にうまく評価をすりかえて、ちょっと結論を逃げているようなところがあります。ただ、批評家がどうとろうと彼らの曲には圧倒的な力があった、という事実をきちんと踏まえていますね。

ところで巨大なアリーナ・ツアーとなったSpiritsの5年前、「3,000人クラスのホールまで落ちていた」(落ちていたって、あなた…)ビー・ジーズは日本ツアーをしていたのです。そしてその時代に渋谷公会堂や中野サンプラザなどの「こじんまりしたホール」でビー・ジーズを鑑賞できた日本のファンは非常に幸運だったのではないでしょうか。

{Bee Gees Days}