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若き日の思い出:海を越えてイギリスへ

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1967年前半のビージーズ(渡英後4人組時代)
1967年前半のビージーズ(渡英後4人組時代)

「若葉のころ」発売週のレコード評をご紹介したところ、古い話をいろいろと読みたいというご要望をいただいたので、今回はビージーズがイギリスへ移動する船の上で一緒だったというファンの珍しい体験記をご紹介します。

これはイギリスのティーン誌「Fabulous 208」(1968年3月16日号)の「わたしが会った有名人」コーナーに寄せられたファンの投稿です。なんとビージーズのファンだったというこの少女(きっと今では素敵な熟年ファンでしょうね)は、フェアスカイ号でビージーズと一緒にイギリスへ渡ったのだそうです。 

1967年1月4日午後6時。わたしは家族と一緒にフェアスカイ号の甲板に立って別れを惜しむシドニーの友だちや知人に手を振っていました。「これからイギリスへ行くんだ」と期待と不安がいりまじったちょっと複雑な気持ちでした。それから赤と黒の階段を下りていって掲示板を見ると、そこに「ザ・ビージーズ出演――1月7日午後11時半~」と書いてあったのです。

えー、この船にビージーズが乗ってるの! イギリスに行くというのは聞いてたけど、この船なんだ。別にごく普通の船なのに…。

そして1月7日(金)午後11時25分、こちこちになったわたしはグランド・ソーシャル・ホールに座っていました。胸は期待でいっぱい。両親は16歳にもならない子どもはそんな時間に起きてちゃいけないという意見だったので、せいぜいおとなっぽくふるまいながら…。

突然、大きな歓声がわきおこりました。見ると、三人がにこにこしながらステージに向かって歩いていくところでした。マイクの接続が始まります。一番上のバリーが「ドラマーがいなくてすみません。父がドラマー役をつとめます」と紹介。わたしは何ひとつ見逃すまい聞き逃すまいと目を皿のようにして聴いていました。

何曲か歌った中で、夢中になった耳でようやく気づいたのは、一曲が「スピックス&スペックス」だったことです。そして残念ながらとうとう最後の曲に。でも彼らに寄せられた拍手は他の出演者に寄せられたものより、当然ながらずっと盛大だったです。

1月28日。船の上で知り合った友だちと一緒にトランプをしている最中のビージーズのところへ。バリーの笑い声が聞こえました。友だちをつっついて、「先に行って」と言ったのですが、友だちのほうは「あなた、先に行ってよ」というので、しかたなくわたしが先に…。はずかしくてたまらなかったのですが、できるだけ丁寧にサインをお願いしました。三人とも「もちろん」と言って気持ちよくサインしてくれました。書き終わった彼らにお礼をいって、「素晴らしいコンサートでした」と言ったのですが、三人ともどう答えていいかわからなくて困っているようだったので、言わなければよかった、と思いました。友だちはなんと他の友だちにあげる分も含めて60枚ぐらいサインをもらっていました。

2月7日午前9時。フェアスカイ号は5週間の航海を終えて、前の晩にサザンプトンのドックに到着していました。みんな大忙しでばたばたしていたので、ビージーズにお別れを言いたい気持ちをぐっとおさえました。ギターを持って移動するのに忙しそうだったからです。そこで彼らの「世界(ワールド)」での成功を心の中で祈るだけにしました。

あれから約1年。今でもフェアスカイ号で過ごした日々を思い出します。花模様の服を着たギブ兄弟があちこちを走り回っていましたっけ。そのときはビージーズがそんなに近くにいるというのが日常の一部で、なんだか当たり前のことに感じられたんです。今や彼らはポップス界の一部になって、行く先々で大ヒットを飛ばしているんですね。

とてもかわいらしいほほえましい体験記ですね。オーストラリア時代にすでに少なくとも若い音楽ファンの間ではビージーズがアイドルだったことがうかがえます。まだ、ファン対応に慣れていなかったらしいビージーズの初々しい様子も楽しいですね。花模様の服、というあたりには60年代という時代を感じます。

「ワールド」はこの航海中に書かれた曲だとも言われていますが、私はこの曲を聴くと、丸い弧を描く水平線が見えるフェアスカイ号の先端に立って、軽い水しぶきを浴びながら、これから征服する世界を見据える若い三兄弟の姿が見えるような気がします。「そうか…世界って本当に丸いんだね…(Now I found that the world is round...)」

ロビンの全快を祈りながら若き日々のビージーズに敬意を表して。

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Words

母のことを一番心配しています。兄弟を亡くすのと子どもを亡くすのではわけが違う。

バリー・ギブ