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タイガースとビージーズ:電話対談(1968年4月号)Part I

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ビージーズ(ヤングミュージック誌1968年4月号表紙)

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Smile For Me

ヤング・ミュージック独占企画 タイガース=ビー・ジーズ≪日英トップグループ国際電話対談≫必ず合同演奏をやろう

まだ生まれていなかった方もいることでしょう。当時の音楽雑誌ヤング・ミュージック(集英社)の1968年4月号(表紙はビージーズ!)に掲載されたグラモフォン所属アーティストだったビージーズとタイガースの対談企画です。版権の関係で全部そのままにはご紹介できないので、引用形式をとらせていただきます。

真冬の空をひきさいてひとすじの電波が遠く海を渡った そこに日英の友情がめばえた 

とかキャッチコピーもなかなかすごいんですが、携帯もないし、インターネットなんて夢のまた夢だった当時。Skypeコールなんて当然ないし、国際電話も敷居が高かった当時の時代背景が感じられます。直通が珍しかったので交換手も登場。記事はこう続きます。

 

東宝映画『世界はボクらを待っている』の仕事を終え、東京大手町にある国際電話曲にかけつけたタイガースの5人はさすがに興奮気味だった。

「いまロンドンは何時ごろかな?」

10時(午後)をさした部屋の時計を見上げながらピーがつぶやく。

「ロンドンは東京よりも9時間おそいんだそうだぜ」

「すると午後の1時ってわけか」

「普通よりも大声でどならないと聞こえないんじゃないかな?」

なにしろ5人にとって国際電話ははじめての経験だし、それに相手がビー・ジーズとあっては興奮するのも無理ないわけだ。

「おい、聞きたいことを整理しとこうよ」

 リーダーのサリーの声に、一同、紙に質問を書きはじめる。

 やがて、ビー・ジーズと約束した10時25分になった。卓上の電話がリーンとなる。

「ロンドンおつなぎしてよろしいですか」

交換嬢の声が流れてきた。

タイガースの5人はゴクリとつばを飲み込んだ……。

(通訳は本誌編集部、ビー・ジーズの5人は、ロンドンの彼らの事務所に集まっていた。最初、電話口に出たのはマネージャーのジョージ・スキナー氏だった)

(パート2へ続く)

…なーんちゃって。いえいえ、まだ続きます。全部で5ページの記事ですが、ビージーズと話すところまでいかないと!

死ぬほど日本に行きたいよ

本誌 ハロー、ハロー、ミスター・ジョージ・スキナー?

ジョージ イエース。ハウ・ドゥー・ユー・ドゥー。さっそくバリー・ギブにかわりましょう。

(”ミスター・バリー”と呼ぶ声がはいる)

ここでちょっと突っ込みたいけど、「ミスター・バリー」なんて言わないと思うので、これは思い込みによる聞き間違いか、翻訳上の演出でしょうね。さて、いよいよバリーの登場です。

バリー・ギブ ハロー。アイアム・バリー・ギブ。

本誌 タイガースを紹介します。タイガースは”モースト・ファイマス・ロックン・ロール・グループ・イン・ジャパン”

バリー オー、アイ・ノウ(知っている) アイ・ノー(と強調する)

また突っ込みたいけど、ビージーズ・サイドが「ガイジンさんしゃべり」に訳されているのは笑えます。これも当時のイギリスや外国がいかに遠い場所だったかということを感じさせますね。だけどどうして最初が「アイ・ノウ」で二度目は「アイ・ノー」なんだ(笑)?? (正しくはknowは二重母音なので「アイ・ノウ」。アイ・ノウ・アイ・アイ・アイ・アイ・アイ・アイ・ノウ…アイ・ノウ♪でしょうか) 

本誌 タイガースのレコードは60万枚以上売れるんですよ。

バリー マーベラス(そいつはすごい) マーベラス!(としきりに感嘆する) 早くそのタイガースと話させてくれ!
本誌 じゃ、リーダーのミスター・オサミ・キシベにかわりましょう。

岸部 ハロー、ハウ・ドゥー・ユー・ドゥー、アイ・アム・オサミ・キシベ。
バリー 低音すぎてよく聞きとれない。もう少し音を上げてくれますか?
岸部 ソリー(と大声) 日本ではロックン・ロール・グループがすごく盛んだけど、知っていますか。

バリー オー・イエース。ユーのレコードすごい売れゆきなんだってね、おめでとう。

岸部 サンキュー。あなたたちの『マサチューセッツ』もすごい売れかたで、アッというまにトップになってますよ。

バリー マーベラス、マーベラス(と大喜び) ユーのレコードがあったら聞かせてほしい。

岸部 ここに『君だけに愛を』があるのでかけてみます。

(♪オー・プリーズ、オープリーズ……と曲が流れる)

バリー ワンダフル、ワンダフル! コリンのやつが首を長くして待っているので変わるよ。

岸部 ぼくのほうもメンバー・チェンジしよう。(と受話器をタローに渡す)

コリン・ピーターセン いま隣りのマネージャーに聞いたよ。ウォーカーでも満員にできなかった会場(注=武道館のことらしい)を満員にするんだってね。マーベラス、マーベラス!(すごい)

森本 サンキュー。ビー・ジーズのこといろいろ聞いてもいい?
コリン OK、OK。

森本 ユーらの名まえと顔が一致しないんです。ここにユーらのジャケットがあるので説明してほしい。(と、『ザ・ビー・ジーズ・ファースト』のジャケットを開ける。ほかの4人も体を乗り出して見守る……)

コリン 左からモーリス・ギブ、パートはベース・ギターだ。その隣がリード・ギターのビンス・メローニー。次がリーダーのバリー・ギブ、リズム・ギター、ピアノ、アンド・ハープシコードを担当している。次がぼく、ドラムで、最後がギター、ピアノのロビン・ギブ。(とステージで紹介するような調子でしゃべる)

森本 サンキュー、サンキュー。ぼくらのメンバーもお知らせします。(一番のノッポがリーダーの岸部……と紹介する)

コリン サンキュー、じゃロビンにかわりますよ。

ロビン・ギブ タイガースのメンバーですか、アイアム・ロビン・ギブ。バリーの弟で、モーリスとはふたごです。
森本 こちらもケンジ・サワダにかわります。
沢田 グループ・ネームのビー・ジーズの由来を教えてくれますか。

ロビン オー・イエース。ユーらも知ってると思いますが、オーストラリア時代ぼくらは3人でした。そのころぼくらの面倒をみてくれたのがビル・ゲイツというディクスクジョッキーをやってた人だったんです。そこで彼への尊敬の念をも含めて、彼のイニシャルをとったんです。

沢田 サンキュー・ベリーマッチ。7月には日本にくるそうですね。
ロビン まだ決定したわけじゃないんだ。最初は春ごろ行く予定だったんだが、スケジュールの都合でダメになった。7月のこと、まだわからない。
沢田 早くきてほしいよ。ぼくらもファンも首を長くして待ってるんだ。
ロビン サンキュー、サンキュー。ぼくらだって死ぬほど日本へ行きたいよ。もし行けたら一緒の舞台で共演しよう。

沢田 ホント? マーベラスだ。(笑い)

 

作曲はいつもスタジオで
 

 タイガースのヒトミです。ロンドン公演はいかがでしたか?
モーリス・ギブ すごかったね。みんな、よく理解してくれて、水を打ったようにシーンと聞いてくれたのにはびっくりしました。歌手のドノバンが昨年暮れにアメリカに行ったときには、観衆が花を一本ずつ持ってきたそうだ。花こそ持ってこなかったが、実に静かに聞いてくれたよ。(笑い)

 うらやましいナー。ぼくらの場合はファンの声援で歌詞が聞こえないときがあるんです。あなたたちもきっと来日するときっとキャー、キャーいわれますよ。

モーリス イギリスでも若いファンは喜びを体でよくあらわします。各国共通らしいね。

 日本のこと知っていますか?

モーリス ジャパン、フェアーイースト(極東の意味)ね。これ以上東はないわけでしょう。フェアー・イーストという言葉とても神秘的なひびき持っています。(笑い) ところで英国のこと、どう思いますか?

(ちょっと考えて…) まっ先に浮かんでくる言葉がジェントルマン(紳士)ですね。礼儀正しくって静かな国といったイメージがわきますね。それとグループ・サウンドの盛んな国……。
モーリス うーん。静かじゃないよ。人間がいっぱいで……(笑い)。世界じゅうの大都市とおんなじだ。トーキョーも人間が多いそうだね……。

 ええ、どこにいっても人、人、人……(笑い)。ところで1月にウォーカーズがきたし、イギリスの歌手がどんどん日本にきて、なんだか近くなったみたいですね。
モーリス うん、電話だってこんなに近く聞こえるんだもの。ビンスにかわるよ。

 じゃ、うちもカハシに……

加橋 ユーらのレコードすばらしいと思います。曲もいいし歌もうまい。作曲や編曲それにボーカルについて教えてほしい!

ビンス・メローニー サンキュー。作曲はバリー、ロビン、モーリスが担当し、アレンジはビル・シェパードが引きうけてやってる。リード・ボーカルはバリーとロビンが交互にやってるよ。

加橋 『マサチューセッツ』は?

ビンス あれはロビンだ。

加橋 あなたたちの曲を聞いていると、マイナー調でバロックとユダヤの宗教歌がミックスされたものを感じるんだが……。

ビンス フーン、でもぼくらはユダヤの音楽に影響されてるとは思っていない。偶然の一致だよ。だれだってひとつの音楽から受ける印象はちがうからね。

加橋 日本人はあなたたちの音楽をメロディアスと思う人が多いんだが?

ビンス いい曲ってそうじゃない? だってレコードを聴きながらいっしょに歌いたくなるもの。メロディアスでなかったらいっしょに歌えないよ。

加橋 意識的にメロディアスにしてるんですか?

ビンス いや、自然そうなるんですよ。ぼくらの場合、曲は全部スタジオにはいってから作曲するんだ。みんなでリズムをとってるうちにだんだんそうなるんだな。

加橋 えっ?(と一瞬トッポはびっくりして通訳の本誌に”スタジオの中で作曲するんですか?”と念を押す) 作曲はいつもスタジオの中でするんですか?

ビンス オー、イエース。スタジオで作るほうがよけい新鮮だからね。(笑い)

加橋 時間がなくなりはしません?

ビンス たしかにせわしいね。でも、スタジオの外で時間をかけると複雑になりすぎる――というのがぼくらの考え方だな……

加橋 ユニークな作曲法だな――

ビンス モーリスがもう一度出たいといってるのでかわるよ。

加橋 ハロー、ミスター・モーリス。アイアム・カツミ・カハシ。『キューリのお城』(キューカンバー・カスル)の歌詞について教えてほしい。

モーリス ストーリーを聞きたいの?

加橋 オー・ノー。たいへんむずかしい言葉を使っているけど……。

モーリス ひびきをよくするために言葉を使ったりはしていない。自然とそいういう気持ちになるから使ったまでで……。ただ、日常の言葉をそのまま歌詞にするのはどうかと思うけど……。
加橋 ビートルズの影響は?
モーリス 特にビートルズの影響を強く受けたとは思っていない。人生を送っている以上、いろんな人の影響を受けるけれども……。ビートルズもそのうちのひとつにすぎない。

加橋 サンキュー・ベリーマッチ。すごく勉強になったよ。

(トッポが受話器をジュリーに渡したとたんマネージャーのジョージが出てきた) 

ジョージ この電話の間に、この部屋でカメラマンがカラー写真を撮っているんだ。タイガー(虎)の敷物の上に腰をかけてね。(笑い)ヤング・ミュージックにも送ってあげるよ。

本誌 サンキュー、日本のファンもきっと大喜びするでしょう。写真のとどくのを待ってます。こちらは沢田研二にかわります。そちらは?

ジョージ バリーにかわるよ。  

 ここで瞳さんが話題にしているロンドン公演というのが具体的にどの公演なのか、この電話対談そのものの日付が不明です。対談そのものは3 月17日から3 月19日にかけてニッポン放送をはじめとする全国のラジオ局で放送された模様です。(現在、タイガースのファンの方のご協力を得て音源を捜索中です。お持ちの方がいらっしゃったらご連絡いただけるとありがたいです) 雑誌の発売に合わせての放送だったであろうことを考えると、対談そのものはもっと早い1月か2月に行われたのではないかとも考えられます。

加橋さんが「キューカンバー・カスル(キューカンバー・キャッスル)」について質問したときに、モーリスの「ストーリーを聞きたいの?」という質問に「オー・ノー!」と答えているのは残念至極(笑)です。イメージだけで構成されているような非常に含みの多い歌詞なので、あそこは「オー・イエース!」と答えてモーリスにどんなストーリーがあるのか聞いて欲しかったですね~。かえすがえすも残念です。

パート2では68年4月に発売予定だった「マサチューセッツ」に続くシングル「ワールド」の話題などが出ています。(今度こそ本当に…パート2へ続く)

(Thanks:Yamachan)


 

 

 

 

 

 

Words

ぼくが17歳で家を出たとき、母が電話してきて泣くので、「潮の流れは変わらなくてはならない」と話した。誰もが母親を心配させて大人になっていく。

ロビン・ギブ