「想い出を胸に」はロビンがソロとしてグループを離れていた時代のビージーズの曲。
1968年末、音楽性の違いを理由にギタリストのヴィンス・メローニーが去り、5人組ビージーズの時代は終わりを告げます。振り返ってみれば5人組の時代はわずか2年ほどしかないのですが、いまだにこの時代のビージーズの音楽を別格視(別格聴?)する人も多いようです。おそらく(私も含め)ほとんどの完熟(あ~、オールドとも言いますかね(^^)ファンが5人組時代に初めてビージーズの音楽と出会ったからではないでしょうか。
ヴィンスが去ったのは、もっとブルース系の音楽を追求したいという彼の希望を他のメンバーも認めた上での“別れ”で、仲たがいではなかったと衆目が一致するところです。しかし1969年の3月にはロビンがソロの道を選び、8月にはドラマーのコリン・ピーターセンが(当時のマネージャーだったロバート・スティグウッドの意向でクビになるという本人の意向に反する形で)去りました。ついにはThe Bee Geesという複数形を維持するぎりぎりのところまで追い込まれた状態で発表されたのがこの「想い出を胸に」です。
日本盤シングルのジャケットにはレコーディング時のメンバーだったコリンも写っています。けれどもこの曲が日本でシングルとして発売される前に1969年末にはバリーがグループの終焉宣言を出し、タイミングとしては、「想い出を胸に」というタイトルが感じさせるとおり、ビージーズがひとつの時代を振り返りながらファンに送る別れの曲のようになってしまいました。
けれども1970年の夏にはロビンのソロアルバム「救いの鐘(Robin's Reign)」が、続いてバリーとモーリスのふたりBee Gees(かろうじて複数形(^^)v)をジャケットにした美しいバラードのアルバム「キューカンバー・キャッスル」が、あいついで登場。ファンにとっては幸せな「夏と秋の間」になったのでした。