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ビージーズとアンディ・ギブに関する新しい本が出ました

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「トラジディ―ギブ兄弟の悲しみの
ラード」(ジェフ・アプター作、
ファイヴ・マイル・プレス社刊)

ビージーズとアンディ・ギブの新しい伝記が出ました! オーストラリアの著作者ジェフ・アプターによる『Tragedy: The Sad Ballad of the Gibb Brothers』です。すでに音楽関連の伝記を十数冊上梓しているというアプターのこの新作は書籍eBookの形で入手可能です。

受賞歴もあるオーストラリアの作家スティーブン・キャロルがシドニー・モーニング・ヘラルド紙に寄せた書評が面白い。なんでもキャロルのお兄さんは「ある午後、バリー・ギブがビージーズの最新レコードのデモをシドニーのリハーサルでプレイしてくれたとき、ノーミー・ロー(訳注:60年代に活躍したオーストラリアの歌手)のベーシストだった」のだそうです。この曲がなんと「スピックス&スペックス」だったとは、うーん、歴史的!

そのキャロルの書評にいわく、「アプターが描き出すギブ兄弟の浮いて沈んではまた浮上するキャリアにはぐっと引き込まれるものがある。特に彼らがヒットを連発した1967年イギリスでの熱狂の日々に関してはすごい。しかし同時にこの物語には深い悲しみがつきまとっている。『トラジディ』を歌ったとき、彼らはモーリスが、末弟のアンディが、さらにはつい最近になってロビンまでが、早世することになるとは予想だにしていなかっただろう」。

この書評にあるように、確かにこの本には引き込まれるものがあり、読みにくいKindle版ではありましたがほとんど一気に読んでしまったのですが、果たしてこれが本そのものの力か、というとちょっと自信がありません。テーマ(ビージーズ)に関心があったせいかも、と思ったりもします。

最後に掲載されている参考文献が興味深いです。どうも”一次資料”というか、直接ビージーズと関わりのある人に取材した形跡はまったくないからです。書評を書いたスティーブン・キャロルのようにお兄さんがリハーサルの関係者だったということもないみたいですし、せっかくオーストラリアの人が書いたのに、往時の彼らを直接知る人の話とかがあったら面白かったのに~と思うのですが。

ただし、2013年に刊行されたデイヴィッド・メイヤーの『Bee Gees: The Biography』は「いったい編集者は何をしていたんだ???」と思うような間違いだらけの本でしたが、ジェフ・アプターはしっかりとリサーチした形跡があります。特にオーストラリア関連がしっかりしています。ただ、どうもYouTubeなどネット情報にもかなり頼っているように思われます。もしそうであれば、1974年のビージーズのオーストラリア・ツアーの項でロビンについて、「動くのは苦手なので、踊らずに、時おりモーリスに向かって笑顔を見せるにとどめた」と書く前に、(YouTubeにもあがっている)1973年あたりのビージーズの「ミッドナイト・スペシャル」出演の様子などを少し見た方が良かったように思います。当時のロビンは、日本のファンの大半が知っている通り、独特のステップでステージ狭しと踊りまわっていましたから。

また、作者は「大失敗作」扱いしている未発表のアルバム『A Kick In the Head Is Worth Eight In the Pants』を聞いたことがあるのだろうか、という点も気になりました。確かにバリー本人がこのアルバムは「ひどい出来だった」と言っていますが、これはフィーヴァー時代の頂点での発言です。数十年を経た2014年、2015年にこのアルバムを論じるなら、当時言われていた「ヒット性の不足」という観点を抜きにした、よりニュートラルな目があっても良かったのではないでしょうか。

名声が彼らにとっての呪縛となった、というのが本書のテーマのひとつですが、それを言うなら、「ヒット性」という視点もビージーズにつきまとって離れなかった呪縛であると思います。そろそろ「売れ筋」論議抜きでビージーズが語られても良いのではないでしょうか。

また「ビートルズ気取り」など読んでいて気になった表現がいくつかありました。さらに80年代初頭までですでに本全体の3分の2なので、ビージーズ関連のマテリアルにありがちなことですが、90年代や21世紀になってからの活動については駆け足の感を免れません。

マイヤーの前掲書のような噴飯もののミスこそ少ないものの、2006年5月の「プリンス・トラスト」出演は「バリーとロビンが一緒にステージに立った最後」ではありません。厳密にいうと「ステージ」ではないかもしれませんが、「ストリクトリー・カム・ダンシング」(2009年11月)、「アメリカン・アイドル」(2010年5月)など、バリーとロビンはその後数回公衆の前で一緒に歌っているという事実にも触れてほしかったと思います。また、バリーが2011年秋に入院中のロビンを見舞ったという事実はありません。著者はバリーの2回のお見舞いを混同しているようですが、そうでなくとも不透明なロビンの最後の闘病に関する情報をさらに混乱させる結果となっているのは残念に思われます。

全体として、ビージーズとアンディ・ギブのキャリアに関する基本情報をおさえておきたいという人にはおすすめできる、わかりやすくまとめられた本と言えます。個人的には、もうちょっと深く掘り下げて、詳細も入れてほしかったと思いますが、それはあくまで個人的な希望です。今のところは元ビージーズ・バンドのドラマーだったデニス・ブライオンが書いた本You Should Be Dancing: My Life With the Bee Gees 』が近く日本でも入手可能になりそう(Kindle版はすでに読めるようですが、やはり老いた目にKindleはきついので、今度は紙で読む所存です)なので、そちらにも期待しています!

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Words

歌はいつもぼくと共にあると思う。

バリー・ギブ